当会にて、ごく一部の労働組合又はその疑似団体による、悪質な違法行為や不正行為を行っている団体(労働運動標榜ゴロ)として例示している、プレカリアートユニオンに関する裁判所での判断などの概要をまとめましたので、ご紹介します。

- 第1 第1次総会決議不存在確認等請求事件(東京地裁判決)
プレカリアートユニオンに関する「労働者主体性」が争点となった裁判例を紹介します。
この判決により、プレカリアートユニオンの平成27年9月19日(第4回定期大会)から令和5年9月9日(第12回定期大会)までの決議がいずれも不存在であることを裁判所が言い渡しました。
原告ら(選定当事者、補助参加人含む)は、いずれもプレカリアートユニオンの元組合員で、プレカリアートユニオンの代表者執行委員長を名乗る清水直子こと関口直子氏により、権利停止処分や除名処分された処分の効力(訴えの利益)を争って、訴訟を提起しています。
裁判所は判決書において、「労働組合においては、その規約に役員が組合員の直接無記名投票により選挙されること又は直接無記名投票により選挙された代議員の直接無記名投票により選挙されることを定める規約を含むことが必要とされており(労働組合法5条2項5号)、代議員が直接無記名投票により選出されることは、組合民主主義の確保のため重要なものと解される。本件のような選任手続きによって選任された代議員による決議は組合員の多数の意思を反映したものということはできず、上記に照らし、その瑕疵は重大であり、もはや法的に総会決議と評価することはできず不存在というべきである(判決12頁20行目)。」と判断し、同様の手続きによって決議された追認手続き等も認められず、代表者執行委員長を名乗る清水直子こと関口直子氏が選任された全ての決議を不存在と判断しました(代表者と名乗っていたものが無権代表者であり、代表者も存在していなかった団体)。
この事件は、原告宮城氏のブログにて、判決書が公開されており、「WEB労政時報」連載「弁護士が精選!重要労働判例」第385回「プレカリアートユニオン(直接無記名投票により選出されていない代議員による総会決議)事件」や判例タイムズ№1523労働組合の総会決議が不存在とされた事例180頁などでも解説がなされています。
各判例検索にて、事件番号等(令和6年2月28日判決言渡 東京地方裁判所 令和2年(ワ)第14565号 総会決議不存在確認等請求事件)で検索でき、各判例集にも掲載されておりますので、判決書の内容を精読することをお勧めします。
- 第2 第1次総会決議不存在確認等請求事件(東京高等裁判所判決)
プレカリアートユニオンに関する「労働者主体性」が争点となった裁判例の控訴事件を紹介します。
この判決は、一審判決により、プレカリアートユニオンの平成27年9月19日(第4回定期大会)から令和5年9月9日(第12回定期大会)までの決議がいずれも不存在であることを裁判所が判断したことを受け、プレカリアートユニオンが高等裁判所に控訴した事件です。
控訴人であるプレカリアートユニオンは、令和6年5月26日に臨時総会を開催したことで瑕疵の連鎖が治ゆされたと主張しましたが、東京高等裁判所は「被控訴人は本件臨時総会における決議の存在及び効力を争うところ、適正な手続を欠いてされた本件各決議について、組合員全員がその追認を承諾し、あるいは、新たな代議員の直接無記名投票による選任を経た上で本件臨時総会が開催されて追認の決議が行われたなどの事実を認めるに足りる証拠はなく、瑕疵の治ゆがあったということはできない。本件臨時総会が開催され、そこで本件各決議を追認する旨の決議がされたことをもって、直ちに本件各決議の瑕疵が治ゆされたものということはできないから、この点についての控訴人の主張は理由がない。(判決書6頁)」とプレカリアートユニオン側の主張を一切認めず、原審を維持する判断をしました。
また、東京高等裁判所は、労働組合法が定める趣旨について「労働組合法5条2項5号が役員又は代議員の選挙を直接無記名投票によるものと定めた趣旨は、投票者の意思が第三者の意思を経ることなく直接最終的なものとして表明されること及び投票の秘密が守られることを確保し、これにより組合民主主義を実現することにあると解される。」と判示しました。
その他、プレカリアートユニオン側が縷々主張した控訴理由もすべて否定されていることは、この事件の原告宮城氏のブログにて、解説や詳細が記載され判決書も公開されております。
各判例検索にて、事件番号等(令和6年11月13日判決言渡 東京高等裁判所 令和6年(ネ)第2701号、同第3433号 総会決議不存在確認等請求控訴事件、同付帯控訴事件)で検索できますので、判決書の内容を精読することをお勧めします。
- 第3 第1次総会決議不存在確認等請求事件(最高裁決定)
プレカリアートユニオンに関する「労働者主体性」が争点となった裁判例の上告審の決定(令和7年7月2日決定)を紹介します。
この判決は、一審判決及び控訴審判決により、プレカリアートユニオンの平成27年9月19日(第4回定期大会)から令和5年9月9日(第12回定期大会)までの決議がいずれも不存在であることを確認した一審判決を高等裁判所も同様の判断したことを受け、プレカリアートユニオンが最高裁判所へ上告及び上告受理申立てをした事件です。
プレカリアートユニオン側が上告理由書や上告受理申立理由書で縷々主張した理由について、最高裁判所は「本件上告理由は、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。」「本件申立の理由によれば、本件は、民訴法318条1項により受理すべきものとは認められない。」と最高裁判所で審理するまでもなく、上告を棄却し、上告審として受理しない旨の調書(決定)のみで退けました。
これにより、平成27年9月19日から令和5年9月9日までのプレカリアートユニオンの全ての大会決議が不存在であったこと、そしてその結果として、その全期間を通じ、代表者執行委員長を名乗っていた清水直子こと関口直子が代表者であったことはなく、また、役員(業務執行者)でもなかったことが、司法的判断として終局的に確定しました。
このことにより、特定の個人が恣にその名を騙るに過ぎない団体は、もはや労働組合法が保護を与えるべき主体とはいえないことが判示される内容となりました。
この事件の原告宮城氏のブログにて、最高裁の調書(決定)や原告(組合員)としての想いが記載されております。
- 第4 第2次総会決議不存在確認等請求事件(東京地裁提起)
プレカリアートユニオンは、第1次総会決議不存在確認等請求事件の判決確定にも関わらず、プレカリアートユニオンの代表を名乗る関口直子氏らや顧問弁護士の佐々木亮氏らは、有効な追認を主張し続けたため、第1次総会決議不存在請求等確認事件の原告らは、第2次総会決議不存在確認等請求事件として、令和7年9月11日付けで訴訟を提起しており、現在も東京地方裁判所民事33部合議乙B係にて訴訟係属中であり、早期に第一次総会決議不存在確認等請求事件同様の判決がなされることを待っています(プレカリアートユニオンの各種書面などの提出期限を守らないなどの訴訟進行を阻害する行為により、約1年経過した現在も結審の目途は立っていない)。
- 第5 第2次総会決議不存在確認等請求事件への補助参加決定に対する抗告事件(東京高裁)
プレカリアートユニオン(以下「当該団体」という場合がある)に関する最高裁判決の前に、東京高裁がプレカリアートユニオンらの抗告を棄却する決定がなされましたので紹介します。
令和8年7月9日決定 東京高等裁判所第2民事部 令和8年(ラ)第1073号(補助参加許可決定に対する抗告事件:原決定は東京地裁(第33部)労働部)では(2頁)、
「(3) 一件記録によれば、抗告人関口は、相手方に対し、令和7年2月に、被告人組合の代表者執行委員長として、抗告人組合の組合員である相手方従業員(人数など中略)について団体交渉を申し入れていることが認められるところ、基本事件においては、抗告人関口を抗告人組合の執行委員長に選任する決議の存否等が争われており、基本事件の判決において原告らの決議不存在確認請求が認められるか否かにより、抗告人関口が労働組合法6条(交渉権限)に基づき抗告人組合の代表者として相手方との団体交渉を行う権限を有するか否かが左右されることになる。
そうすると、基本事件の判決は、相手方が抗告人関口を代表者として抗告人組合との間で団体交渉を行うべき法律関係にあるのか否かに影響を及ぼすおそれがあるというべきであるから、相手方は、基本事件の結果について法律上の利害関係を有するということができ、相手方の補助参加を許可するのが相当である。」として、プレカリアートユニオンら(抗告人関口、稲葉含む)の抗告を以下主文のとおり棄却しました。
主文
1 本件抗告をいずれも棄却する。
2 抗告費用は抗告人らの負担とする。
なお、基本事件とは、通称「第一次総会決議不存在確認請求事件(平成27年から令和5年までの間における各総会決議がいずれも不存在であることを確認する旨の判決がされ、同判決は、令和7年7月確定)」の後に、当該団体が追認を主張したことに対し、第一次総会決議不存在確認請求事件の原告らが、当該団体の設立時大会も含み、追認主張する各決議不存在確認請求事件を令和7年に提起したものです(通称:第二次総会決議不存在確認請求事件)。
また、「平成27年から令和5年までの間における各総会決議がいずれも不存在であることを確認する旨の判決がされ、同判決は、令和7年7月、確定した」こと、現時点において「上記の経緯によれば、本件訴訟は、第1審本訴被告について、代表権を欠く者を代表者として提起・追行されたものというべきである。したがって、原判決には、民訴法312条2項4号に該当する事由(絶対的上告事由)がある。原判決は、破棄を免れない。」については別記事で紹介した最高裁判決のとおりです。
したがって、当該団体(プレカリアートユニオン)の清水直子こと(抗告人関口)を執行委員長(代表者)としてなした行為は、現時点においては、代表権を欠く者を代表者として提起・追行であり、絶対的上告理由があることは前述のとおりですが、今回の東京高裁決定を受け、当該団体との間で団体交渉を申入れされるなど、行うべき法律関係にある者は、第二次総会決議不存在確認請求事件(基本事件)へ補助参加などが許可されるべきとの判示です。
◎今回の最高裁判決や東京高裁決定の判示内容から、現在まさに被害を受けている皆様には、各被害者の状況に応じ、次のいずれかの対応を検討されることを強くご提案しております。
1、【被告知人】として、事件の判決の効力を及ぼす。
(民事訴訟法53条1項及び4項-訴訟告知)
【1項:当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
4項:訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。】
2、【補助参加人】として、訴訟に補助参加し、必要と考える主張を補充し、事件の判決の効力を及ぼす。
(民事訴訟法46条-補助参加人に対する裁判の効力)
【補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。】
3、【共同原告】共同訴訟参加の申立てを行い共同原告として、訴訟参加し、必要と考える主張を補充し、事件の判決の効力を及ぼす。
(民事訴訟法52条-共同訴訟参加)
【訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。】
- 第6 別訴の係争法人との損害賠償請求事件(最高裁判決)
プレカリアートユニオンに関する最高裁の判決が言い渡され、最高裁HPにおいて「判示事項:当事者である労働組合の代表者とされた者に代表権が認められず、原判決に民訴法312条2項4号に該当する事由があるとされた事例」として公開されておりますので紹介します。
公開されている判決では、
【⑶ 第1審本訴被告の組合員が第1審本訴被告に対して提起した別件訴訟において、令和6年2月、Aを代表者に選任する旨の平成27年から令和5年までの間における各総会決議がいずれも不存在であることを確認する旨の判決がされ、同判決は、令和7年7月、確定した。
上記の経緯によれば、本件訴訟は、第1審本訴被告について、代表権を欠く者を代表者として提起・追行されたものというべきである。
したがって、原判決には、民訴法312条2項4号に該当する事由がある。原判決は、破棄を免れない。】
と当該労働組合の代表者の権限欠如に基づき原判決を破棄し、差し戻す判断を最高裁が下しました。
◎この最高裁判決は①平成27年から令和5年までの間における各総会決議がいずれも不存在であることを確認する旨の判決がされ、同判決は、令和7年7月、確定したこと、②絶対的上告事由があること、③代表権の有無は職権探知事項であることを前提に判断しておりますので、他の確定済みのプレカリアートユニオンを当事者、代表者を関口をとして提起・追行された事件の全てに再審事由(民訴法第338条)があることになる、という影響を与えることになるとの意見も検討されております。引き続き注視していきます。
【民事訴訟法312条2項4号(上告の理由)】
2項:上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
4号:法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
【民事訴訟法338条1項3号(再審の事由)】
1項:次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
3号:法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
- 第7 第2次総会決議不存在確認等請求事件への補助参加決定に対する許可抗告事件(東京高裁2度目)
プレカリアートユニオン(以下「当該団体」という場合がある)に関する最高裁判決・東京高裁抗告却下決定に続き、東京高裁がプレカリアートユニオンらの許可抗告を許可しない決定がなされましたので紹介します。
令和8年8月17日決定 東京高等裁判所第2民事部 令和8年(ラ許)第460号
原決定令和8年7月9日東京高等裁判所第2民事部 令和8年(ラ)第1073号(補助参加許可決定に対する抗告事件:基本決定は東京地裁(第33部)労働部)では(2頁)、
「(3)一件記録によれば、抗告人関口は、相手方に対し、令和7年2月に、被告人組合の代表者執行委員長として、抗告人組合の組合員である相手方従業員(人数など中略)について団体交渉を申し入れていることが認められるところ、基本事件においては、抗告人関口を抗告人組合の執行委員長に選任する決議の存否等が争われており、基本事件の判決において原告らの決議不存在確認請求が認められるか否かにより、抗告人関口が労働組合法6条(交渉権限)に基づき抗告人組合の代表者として相手方との団体交渉を行う権限を有するか否かが左右されることになる。
そうすると、基本事件の判決は、相手方が抗告人関口を代表者として抗告人組合との間で団体交渉を行うべき法律関係にあるのか否かに影響を及ぼすおそれがあるというべきであるから、相手方は、基本事件の結果について法律上の利害関係を有するということができ、相手方の補助参加を許可するのが相当である。」として、プレカリアートユニオンら(抗告人関口、稲葉含む)の抗告を以下主文のとおり棄却しました。
主文
1 本件抗告をいずれも棄却する。
2 抗告費用は抗告人らの負担とする。
上記に対して、プレカリアートユニオンら(申立人ら)は、令和8年7月24日付けの抗告許可申立書を提出し、抗告許可申立てを行いましたが、東京高等裁判所第2民事部は令和8年8月17日付けの決定をしました。
主文
- 本件抗告を許可しない。
- 申立費用は申立人らの負担とする。
理由
本件申立ての理由によれば、原決定について、民訴法337条2項所定の事項を含むものとは認められない。
よって、主文のとおり決定する。
と判断されました。
- 第8 現状の進捗について
上記の第4で記載した、東京地方裁判所民事33部合議乙B係にて訴訟係属中の【令和7年(ワ)第25456号 大会決議不存在確認等請求事件】において、原告ら2名(PU側が元組合員と主張する組合員)に加え、第5及び第7にて補助参加が認められた法人及び他の補助参加申出した2法人(計補助参加3法人)、共同訴訟参加申出1法人と大きな原告団となっており、被訴訟告知人(都労委などを含む多数)が影響を受ける立場であるため、この事件が早期に結審され、第一次総会決議不存在等確認請求事件同様の判決が下されることを当会は注視していきます。